第6回 みんなが使えるWEBページに(1)
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WEBアクセシビリティとは
今回からWEBサイトの「WEBアクセシビリティ」について少しお話したいと思います。「WEBアクセシビリティ」というのは、「たとえば目が見えなくても、四肢に障害があっても、誰でもWEBページを使えて、情報を受け取ることができるようにする」ということです。2000年代から「WEBアクセシビリティ」はWEBサイト作成において必須のものとされるようになってきました。
目の見えない人にとってのWEBサイト
私は20年ほど前、「目の見えない人、弱視の人に天気予報を伝えるWEBサイトを構築する」というお仕事に携わったことがあります。それまで目の見えない人がパソコンを使うことができると知らず(画面が見えないから無理だと思い込んでいた)、まずは実際に目の見えない人の家を訪問して、どのようにパソコンをお使いなのか教えていただくことにしました。お訪ねしてビックリ! 普段はハードディスクとスピーカーとキーボードのみお使いとのことでした。私が何のページなのかがわかるようにと「いつもは使わないけどモニターにつなげますね」と、手探りでひょいひょいとパソコンのハードディスクにモニターをつなげられ、さらに「点字表示キーボード」をつなげられました。点字表示キーボードは、パソコンのテキストが15文字くらいビスで表示されていく機械です。それを指でなぞって読むのだそうです。
その方のパソコンには音声読み上げソフトもインストールされていて、ページを表示してリターンキーを押すと、男性の声でテキストが読み上げられるのです(リンク箇所は女性の声)。「聞き取れないと困るでしょう」といつもより6倍ゆっくりで再生してくださいました。女性の声のときにリターンキーを押すとリンク先に飛びますし、タブキーを押すと、次の項目にジャンプします。「目が見えないので、今までは紙に書かれた文章は人に読んでもらうしかなかったけれど、インターネットに情報が載るようになり、さらに音声で再生できるようになったから人に頼まなくても自分の欲しい情報にアクセスできるようになった」ととても喜ばれていました。
また、「ネットバンキングを使えば、ネットで買物もできるから、お店に行って店員さんに頼んで商品を探してもらって購入するということが減った」とのこと。視覚障害者にとって、インターネットの出現は可能性を大きく広げてくれるものだったのです。
読み上げられるのはテキストだけ。なので、「重要な説明を画像だけで行うのはやめてほしい」「もし、画像で説明するときは、altタグに必ずその画像の説明を入れてほしい(altタグは画面には表示されないけれど、テキストなので音声読み上げソフトが読んでくれる)」と要望が出されました。
当時の読み上げソフトは(今も?)、たとえば「三重県」のことを「三重県」と書けば「みえけん」と読んでくれますが、「三重」と書けば「さんじゅう」と読み上げられるので、天気予報の地域をテキストで列挙するときは、音声読み上げソフトで正しく読み上げられるようにするようにしました。少し工夫するだけで、多くの人に情報が適切に伝わるようになるのだと知りました。
四肢不自由の方は
知り合いに、プールに飛び込んだときに頭を打って、首から下が麻痺してしまった方がいます。その方は棒を口にくわえてキーボードを押してパソコンを操作されています。みんながマウスを使っていることを前提にせず、「キーボードだけで操作できるようにする」ということも「WEBアクセシビリティ」の重要な要件です。キーボードを2つ同時に押さないと動かないという作り方もNGです。
皆さんがWEBサイトを作られるときは、ぜひ「WEBアクセシビリティ」について考えてください。